シラバス情報

授業コード
52330001
講義名
米国史 [ライブ型・FS]
開講時期
2021年度1Q(前期)
科目分類
教養
科目分野
知の源泉/歴史学
教員名
藤田 怜史
実務家教員
履修年次
2〜4
単位数
1単位
曜日時限
木曜2限

学習目標 (到達目標)
アメリカ史における重要な出来事や概念を理解する。歴史の連続性(因果関係)や断絶性を把握し、現代アメリカの諸問題の原因や起源がどこにあるのか、なぜ生まれたのかを理解する。
授業概要 (教育目的)
自由と平等を標榜して誕生し、「移民国家」としてのアイデンティティを持つアメリカは、しかし、きわめて矛盾に満ちた歴史を経験し、「アメリカ」を形作ってきた。そのアメリカの歴史を通史的に学ぶのが本講義の目的である。アメリカ史において重要な出来事や概念を理解することは重要であるが、それだけではなく、アメリカの政治、社会、思想、人種、文化がいかに絡み合いながらその歴史を歩んできたかを理解してもらいたい。
履修条件
履修条件緩和
成績評価方法・基準
平常点(15%)・授業中に適宜提示する課題への回答(25%)・期末テスト(60%)。なお、各Qごとに課題およびテストの内容は変える場合がある
期末試験の内容
課題の内容
デジキャンの「課題」機能を通じて毎回提示する。内容に応じて1〜3点の点数をつける。

授業内容
第1回
北米植民地がどのように成立し、その本国イギリスとの対立がなぜ起きたのか。そしてアメリカ合衆国と合衆国憲法はどのような議論を経て成立したのかを論じ、建国以前からアメリカが「多様性」を内包する社会だったことを理解する。
第2回
アメリカ合衆国は独立から徐々にその領土を拡大していき、1890年には「フロンティアライン」の消滅が宣言された。なぜ、どのようにアメリカは現在の領土を獲得することになったのかを追う。またアメリカはその国土を拡大する過程で、北部・南部・西部というセクションに分かれていき、南北戦争へと至る。その背景と結果を確認する。
第3回
アメリカは「移民国家」と呼ばれる国であり、移民によって成り立つ国であった。しかしそのアメリカは、19-20世紀転換期にかけて徐々に移民制限に転じていく。なぜそのような方針を選択するようになったのか、移民の「序列」に注目しながら確認する。
第4回
アメリカの第一次世界大戦参戦は、アメリカ外交の文脈から言えば革命的な出来事であった。また第一次世界大戦はアメリカ国内の社会にも影響を与え、戦後の20年代には急激な経済成長の時代が訪れた。第一次世界大戦と繁栄の20年代は、アメリカの人種・民族状況にどのような影響を与えたかを論じる。
第5回
繁栄の20年代の結末はアメリカに端を発する大恐慌であった。それへの対処として編み出された「ニューディール政策」は、アメリカの「自由」に対する認識にとって大きな転換点となった。また1941年にアメリカは第二次世界大戦に参戦するが、それは国内の人種問題解決にとってきわめて重要なきっかけとなった。以上のような性格を持つ1930年代から第二次世界大戦のアメリカを概観する。
第6回
アメリカにとって、そして日本にとって、第二次世界大戦末期の原爆投下はきわめて重要な意味を持つ出来事である。なぜ原爆が投下されたのか、なぜそれは広島と長崎に投下されたのか、歴史家の論争と政策決定過程を論じる。
第7回
第二次世界大戦後の世界はいわゆる「冷戦」へと突入し、アメリカはその一方の盟主として行動するようになる。冷戦はアメリカの外交だけではなく、社会や文化にも大きな影響を与え、アメリカは黒人の政治的・法的平等を実現するための公民権運動に突入する。公民権運動の背景と結果について論じる。
第8回
公民権運動は黒人だけのものではなく、さまざまなマイノリティを刺激し、アメリカが「多文化」化する重大な契機となった。より「多様化・多文化」化を進めるアメリカをひとつにまとめるために、どのような包摂の論理が提示されるようになったのか。それについてアメリカの建国期から改めて振り返り、「文化多元主義」と「多文化主義」という考え方がせめぎ合うようになったことを確認する。

購入が必要な教科書

教科書以外に準備するもの(画材・機材)

参考文献
和田光弘編著『大学で学ぶアメリカ史』ミネルヴァ書房、2014年。その他適宜講義の際に紹介する
※大学での教科書販売はありません。

教員より履修学生へメッセージ
アメリカの歴史をある程度専門的に論ずることになるが、アメリカについて知るだけではなく、ある出来事や考え方が、なぜ、どのように起き、生まれたかを考察することを常に意識してほしい。課題とは別に、講義のたびに任意で感想や疑問・質問の提出を求める。鋭いコメント等については、次回の講義でできる限り対応したい。
教員連絡先