シラバス情報

授業コード
52140001
講義名
日本文学 [オンデマンド型・FS]
開講時期
2021年度1Q(前期)
科目分類
教養
科目分野
知の源泉/表現
教員名
栗原 飛宇馬
実務家教員
履修年次
2〜4
単位数
1.00単位
曜日時限
木曜3限

学習目標 (到達目標)
受講者それぞれの創作動機を深め、表現対象への批評・洞察力を高めることを目指す。
授業概要 (教育目的)
知識として文学作品に触れるのではなく、先人たちが文学・芸術の営みを通じて切実に問うてきたことを学び、自らの創作活動の源泉を見つめる契機とする。

※講義はすべて動画配信よるオンデマンド形式としますが、初回(第1回)と最終回(第8回)の授業ではzoomによるオンライン授業も実施し、質問や相談、受講生同士の対話に応じられるようにします。zoom参加が難しかったり、回線トラブルで接続できなかった人のために、同じ内容を動画でも配信します。デジキャンでの質問・相談にも対応しますので、すべてオンデマンドで履修することも可能です。
履修条件
履修条件緩和
成績評価方法・基準
・各回のコメントシート(40%)
・期末レポート(60%)
期末試験の内容
・第1回から第8回の授業で取り上げた詩人・作家のテキストや講義の内容を踏まえ(※)、そこから触発された自身の創作のテーマや構想をレポートとして提出してもらいます。創作をしない人は企画や研究テーマでも大丈夫です。

※授業で扱った作家や作品だけに限定せず、講義の中で触れた話題やフレーズ、思想など、少しでも関わりがあれば可とします。

・レポートの形式は自由ですが、WEBサイトなどの丸写しは不可とします(引用文献、参考文献として出典を明記するなら可)。
課題の内容

授業内容
第1回
イントロダクション:文学は何を問題にしてきたか?
文学があつかうのはお説教めいた理屈ではなく、誰にとっても身近な「心」の問題である。初回の授業ではその端的な例として、三角関係の末、失恋を契機にそれぞれが希有な詩人、批評家へと成熟した中原中也、小林秀雄のテキスト・伝記を取り上げる。あわせて全8回の講義の概要および成績評価の説明、参考文献の探し方などをレクチャーする。
第2回
特撮映画と古典文学
ウルトラマンの監督として、また、特異な映像美の追求者として知られる実相寺昭雄は日本の古典や古代史への造詣が深く、それが作品にも反映されている。実相寺作品を足がかりに、万葉集をはじめとする和歌の世界や、古代の人々のこの世ならぬもへのを志向を検証する。
第3回
世界文学と源氏物語
様々なバリエーションの現代語訳や外国語訳など、多彩な〈翻訳〉を持つテクストが「源氏物語」である。ここでは与謝野晶子訳の「源氏物語」を中心に、その魅力を検証する。あわせて、「源氏物語」の内容に、ラファイエット夫人「クレーヴの奥方」やドストエフスキー「白痴」といった世界文学との類似が見出せる点を紹介、世界文学としての普遍性を検討する。
第4回
文学理論は無用の長物か? 夏目漱石・萩原朔太郎の思索をめぐって
創作を志す者にとって、自分の作品行為の意味を問うことは不可避な営みだが、実際にそれを書きとめたものが高く評価されることは少ない。しばしば失敗と評される漱石の『文学論』と朔太郎の『詩の原理』を検討することで、文学理論の意義を考察する。その成否にかかわらず、文学とは何か、詩とは何かを真正面から問う漱石と朔太郎の情熱から学ぶことは少なくないはずである。
第5回
手品と文学 江戸川乱歩と萩原朔太郎の意外な接点
日本の探偵小説の祖として知られる江戸川乱歩と、日本近代詩の父と呼ばれる萩原朔太郎の間には、その表現ジャンルの違いにもかかわらず密な交流があった。二人は手品を趣味にする点でも共通しており、互いに手品を見せ合っていたことも書簡からうかがえる。従来の研究において、それらは子供じみた趣味として軽視されてきたが、実は両者の文学の根源的な志向に通じていたことを紹介する。
第6回
童話のファンタジーと現実社会
宮澤賢治は、子どもの感性の世界に自在に入り込み、それを童話に結実できる希有な詩人であった。同時にまた、賢治には社会や人間存在への深い洞察があり、それが単なる絵空事でない作品世界の強度をもたらしている。現代の作家であり、魅惑的な幻想世界を描き出す安房直子の童話も同時に検討することで、現実とファンタジーの関係がテクストにどう表れ、どのような世界を現出させているかを検討する。
第7回
戦後文学と文学者の戦争責任論
戦時中、ほとんどの詩人・作家が戦意高揚のための作品を書き、戦争に協力したことに対して、戦後、その責任を厳しく問う声があがった。戦争が文学にもたらしたものを概観し、戦争責任の問題に詩人・作家たちがどう向き合ったかを紹介、また、現代においてその問題を問う意義を考察する。
第8回
現代の文学は何を描くか? 村上春樹らと近代文学
現代の文学は、近代から戦後にかけての文学の営みから断絶したところにあると言われる。が、その筆頭のように目される村上春樹に対し、立原道造ら四季派の詩人とのテーマの類似を指摘する研究もある。それら現代文学と近代文学の接点を探ることで、現代の文学、そしてこれからの文学的営為が何を追究するのかを考察する。

購入が必要な教科書

教科書以外に準備するもの(画材・機材)

参考文献
特定のテキストは使用せず、適宜プリント(オンラインの場合はpdf)を配布する。
参考文献は各回の授業にて提示する。
※大学での教科書販売はありません。

教員より履修学生へメッセージ
親しみやすいテキストを織り交ぜ、初学者にも入りやすい授業を心がけています。古今の文学・芸術に触れ、自己と他者に出逢う契機となることを願っています。
教員連絡先