シラバス情報

科目名
先端芸術原論
副題
創造的表現と科学、技術、社会、文化との関係を考える
科目カテゴリ
専門
科目モジュール
基礎・理論
科目系統
A
開講時期
3Q
開講曜日
水曜日
開講時限
8限
担当教員
草原 真知子
定員
80名
単位数
1単位

授業概要
・今日の先端芸術の状況と社会的意義、歴史的背景について考察し、芸術に対する視座を構築すると共に現代の科学・技術が社会・文化に与えている変化について思考を深める。
・先端芸術の面白さや可能性を発見しつつ、その原点を知り、社会における芸術とは何かを共に考える。
・芸術が内包するクリティカルな視点と、その一方で現代美術が抱える問題点について考察し、アートとその関連分野すなわちデザインやエンターテイメントとの関係について、受講生それぞれの関心やバックグラウンドとも関連づけつつ多角的に検討する。
到達目標
・今日の先端芸術について幅広い知見を持ち、科学・技術の発展や社会の状況と結びつけて概観できる
・個々の作品についてその意味するところを考え、社会的・歴史的・文化的背景を踏まえた上で分析できる基盤を持つ
・現在の先端的な表現の歴史的コンテクストを知ることで、近未来の先端技術からどのような表現が生まれるか夢想できる
・社会における芸術の役割と意味について、具体的な事例に基づいて論じることができる
・自分の関心分野や今までに手がけた作品やプロジェクトを多角的な視点から把握し、説明できるようになる
授業内容のキーワード
メディアアート、メディアテクノロジー、メディア論、現代美術、情報社会、メディア考古学、社会性、インタラクティブ

回数
タイトル
内容
実施方法
第1回
先端芸術の現在(1)
イントロダクションとして、1980年代以降のメディアアート作品や実験的な映像作品を取り上げ、それぞれの作品のコンセプトと科学・技術・社会的背景について考察する。
遠隔授業
第2回
先端芸術の現在(2)
インタラクティブ性を持ったアート作品やアーティストによる商品開発の例などを紹介し、テクノロジーとアートとの関係やアートとデザインとの関係について考える。
遠隔授業
第3回
先端芸術の現在(3)
バイオアートやロボットアートなど先端技術を可視化あるいは予見するようなアートや実験的なミュージックビデオなどのエンターテイメント作品が私たちの世界観に与えるインパクトについて考える。
遠隔授業
第4回
なぜ先端芸術か
メディア・スタディーズの基礎となったヴァルター・ベンヤミンとマーシャル・マクルーハンの著作とそれらの社会的背景を紹介し、メディア論と大衆文化とアートの関係について考える。
遠隔授業
第5回
芸術運動とテクノロジー
産業革命と機械芸術とダダ、大量生産とレディメイド、デュシャンとケージ、実験工房など、テクノロジーと表現の関係から現代美術を概観する。
遠隔授業
第6回
大衆メディアと芸術
エンターテイメントとアートと社会の関係の歴史を、産業革命と娯楽、江戸から明治の視覚的娯楽やからくり細工、それらと現代の情報技術や映像エンターテイメントやロボット文化との接続について考察する。
遠隔授業
第7回
芸術と「非芸術」の間
現在の芸術はもはや「作家の崇高な美意識の表現」というような古典的な概念から遠く離れたところにある。偶然性の導入、AI画家、ガジェット型作品、自己破壊する作品などの意味するところを考える。
遠隔授業
第8回
人工生命と娯楽
科学、テクノロジー、アート、エンターテイメントが交差する場所として、生命現象を扱うアートとエンターテイメントを取り上げ、科学や工学が文化に溶け込んでいくプロセスについて考える。
遠隔授業

授業形式
・講義形式で、現在及び過去の先端技術を用いた芸術作品やエンターテイメントやデザインを紹介し、その意義や社会との関係を分析する。機械芸術、メディアアート、実験映像、ビデオアート、インディペンデント・アニメーション、ミュージックビデオ、ゲーム、CM、バイオアート、ロボットアート、自動人形、パノラマなど広い範囲を扱うが、開講時のアートや技術の動向と受講生の関心によって取捨選択する。
・映像を多用、要点はプレゼンテーションツールで示す。画面に表示できる内容は限られ、箇条書きが多いので、口頭の説明をきちんと聞いて理解すること。興味を引かれた点や疑問点は講義後に自分で調べてほしい。ビデオのリストと講義の概要はアップロードするが、著作権の関係でアップロードできないものもある。講義のときに作品や関連画像をしっかり見ること。
成績評価方法・基準
・FSのコメント(講義内容の理解度の評価) 25%
・中間課題 25%
・期末課題 50%
履修条件および学生へのメッセージ
新しい情報や知識に対して拒否反応を示したり伝統的な言説に固執するのではなく、オープンな態度で臨んでほしい。広い分野を扱うが、授業で紹介できる作品や思想は限られているので、興味や疑問を感じたら自分で調べ、また、関連した展示などを見に行くことをお勧めする。この講義の中から、自分の発想の幅やプレゼンテーションの奥行きを広げるような種を見つけて欲しい。
特に予習は必要としないが、参考文献や関連がありそうな作品に関する情報などを予め調べておくと内容が理解しやすい。広いジャンルを扱うため講義では時間が足りずに動画のリンクのみ紹介したり解説を充分にできない場合がある。紹介された作品、作家、技術、アートの動向などについて自分で調べて理解を深めること。
教科書
特に指定しない
参考文献
メディア論—人間の拡張の諸相 / マーシャル マクルーハン / みすず書房
複製技術時代の芸術 / ヴァルター・ベンヤミン / 晶文社
メディア哲学 / 石田英敬・吉見俊哉・マイク・フェザーストーン編 / 東京大学出版会
メディア考古学 / エルキ・フータモ / NTT出版
ニューメディアの言語 / レフ・マノヴィッチ / みすず書房
落合陽一 / 魔法の世紀 / PLANETS