「映画は娯楽の王様!」昭和30年代まで、映画はそう呼ばれていました。主人公の正義溢れる行動に感動し、不撓不屈の精神に感銘を受ける。或いは、男女の切ない恋愛や、命の大切さを訴える物語に涙する。そんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか? 私にとって映画は、娯楽であると同時に、実は「人生を先に教えてくれる先生」でもあります。映画の主人公は、多種多様な国籍や人種、価値観を持った人間。物語の数だけ、その人生が描かれています。彼らは往々にして困難に直面し、その厳しい現実を乗り越えてゆく姿が描かれていることに気づくでしょう。つまり、そこには人生で直面する問題の“模範解答”が示されているというわけなのです。ですから、何らかの困難に直面したり、悩んだりした時、私は映画の中に答えを求めるようにしています。そこで導き出された答えが、己の人生と一致し、問題が解決された時、その映画は人生にとって重要な1本となるからです。この授業では「映画表現の歴史」をテーマに、映画作家たちがどのように既成の表現や規制へ立ち向かい表現を変化させていったのか、そして、彼らの表現に対する闘いを知ることで、学生の皆さんにとっても「映画を観る見方」が変化するのではないかと考えています。また映画評論家としての視点から、なかなか聞くことのない映画業界における最新の潮流もお話しします。映画が好きな方はぜひ履修ください。
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