シラバス情報

授業コード
52350001
講義名
中国史
開講時期
2023年度1Q(前期)
科目分類
教養
科目分野
知の源泉/歴史学
教員名
宮古 文尋
実務家教員
履修年次
2~4
単位数
1単位
曜日時限
木曜4限

学習目標 (到達目標)
大学で学んでもらいたい「歴史学」は、高校までの「日本史」や「世界史」とは異なります。歴史上の出来事や人物、歴史用語や年代を暗記する必要はありませんし、それらをおぼえることも重視しません。本講義を通じて、歴史を「おぼえる」ことよりも、「知る」こと、知ったことをもとにして、「考える」ことを体験して欲しいと思います。——歴史の学びを通じて、多様な文化、価値観、社会を知る。その知識より、他者を理解し、自らを客観的に見つめる視点を身に付け、現代社会が抱える様々な問題を捉え直す—— 本講義が、皆さんにとって、こうしたことを「意識」するきっかけになることが目標です。
授業概要 (教育目的)
まだ教科書には反映されていない、近年の研究成果を踏まえながら、中国とその周辺地域の歴史を概観します。いわゆる「通史」という形ではなく、幾つかのトピックを取り上げる形で歴史過程を概説します。前近代の歴史が中心とはなりますが、前近代社会の特徴が、近代から現代に至るまでの間に失われたのか、残存しているのかを考えることを糸口に、歴史を踏まえた現代社会の再検討を、各テーマごとに試みます。まずは、現代の中国やその周辺地域で生活する人々の、文化や社会を知ってもらおうと思います。そして、その背景にはどういった歴史があるのかを考えていく形で講義を進めます。

※授業内容は受講生の皆さんの意向により変更する場合があります。
履修条件
履修条件緩和
成績評価方法・基準
期末課題60%、平常点40%で評価します。
平常点は、「課題管理」より提出されたクイズの回答内容から評価します。全8回、5×8=40点です
期末試験の内容
課題の内容
期末課題はA4で1枚、1200字程度の小論文を提出してもらう予定です。授業全般を通じて考えたことなどを問う内容です。

授業内容
第1回
東アジアの環境と生活① —— 中国(多様な環境と食文化)
中国は欧州諸国がすっぽり収まるくらいの広さがあります。一言で中国と言っても、大きく異なる各地域の地理的特徴、それを背景とした食文化の多様性を紹介します。
第2回
東アジアの環境と生活➀ —— 中国(「黄河」と「長江」)
「黄河」と「長江」が生み出す風景の違いを通じて、乾燥地域と湿潤地域の生活環境の違いについて紹介します。
第3回
東アジアの環境と生活② —— モンゴル(遊牧民の生活風景)
中国の歴史はモンゴルの歴史でもあります。中国の隣国モンゴルとそこに住む遊牧民の伝統的な暮らしを紹介します。
第4回
中国の歴史と民族 —— 民族と意識(異民族と中国の王朝)
中国人の9割以上は漢族によって占められています。しかし、「中国の歴史」は「漢族の歴史」ではありません。異民族がどのように中国に王朝を建てたのか説明します。
第5回
中国の歴史と民族 —— 民族と意識(「中国」と「中国人」)
「中国」という言葉には国名以外の意味があります。また「中国」や「中国人」の語が指し示す範囲や意味は一定ではありません。その歴史的変遷について説明します。
第6回
中国の歴史と民族 —— 民族と意識(「国民」とされる少数民族)
中国と日本における少数民族政策の歴史を振り返り、現代の民族問題について考えます。
第7回
中国の歴史と民族 —— 民族と意識(「台湾人」と「香港人」)
同世代の若者の中に広がる、自分たちは「中国人」ではなく「台湾人」「香港人」であるという意識の背景を考えます。
第8回
中国の歴史と民族 —— 民族と意識(政治と民族意識)
選挙を通じた政治参加から生じる、自らが「○○人」であるという意識について考えます。

購入が必要な教科書

教科書以外に準備するもの(画材・機材)

参考文献
講義で配布するプリントをテキストとします。

参考文献下記
岸本美緒『中国の歴史』筑摩書店(ちくま学芸文庫)、2015年
岡本隆司『世界史序説——アジア史から一望する』筑摩書房(ちくま新書)、2018年
※大学での教科書販売はありません。

教員より履修学生へメッセージ
高校までの日本史や世界史の基礎知識は求めません。日本史や世界史を選択したことがなくても問題ありません。中国史に限らず歴史一般、歴史に限らず現代の中国やアジア諸地域に興味・関心のある学生の受講も歓迎します。その時、その地域を生きていた人々が、どのような感情を抱き、どのようなことを考えたのかを、当時の人たちの視点から考えてみて欲しいと思います。
教員連絡先
f-miyako-6z0@sophia.ac.jp