シラバス情報

授業コード
54520002
講義名
捜査と裁判
開講時期
2024年度1Q(前期)
科目分類
教養
科目分野
社会性/法学
教員名
小林 良樹
実務家教員
履修年次
2~4
単位数
1単位
曜日時限
火曜2限

授業概要
本科目では、犯罪情勢及び犯罪対策に関する諸問題を、犯罪社会学・公共政策学等の学術理論を踏まえつつ、主に私的アクター(私企業、NPO、地域社会、個人等)の視点から考察します。
その背景には次のような事情があります。
(1) 近年の我が国における犯罪情勢は、いわゆる特殊詐欺の問題、サイバー犯罪の問題、犯罪のグローバル化、犯罪者の再犯防止、犯罪被害者等支援等以前にも増して複雑化しています。
(2)こうした諸情勢を正確に把握し理解するためには、学術的な理論を踏まえるとともに、背景にある実際の社会情勢(グローバル化、高齢化、デジタル化等)を理解する必要があります。
(3)その上で、こうした状況への対処には、政府、地方自治体等の公的アクターのみならず、私的アクター(私企業、NPO、地域社会、個人等)を交えた自助や共助が重要となっています。
(4)加えて、各種の施策の検討に当たっては、ガバナンス論的な視点、すなわち、各アクター間の利害調整を具体的に検討することが求められています。
到達目標
本講義の目的は、各履修生が、現代の犯罪情勢及び犯罪対策に関する実践的な諸課題を、犯罪社会学・公共政策学等の学術理論を踏まえつつ、主に私的アクター(私企業、NPO、地域社会、個人等)の視点から主体的に考察できるようになることです。言い換えると、各履修生が、犯罪対策の課題に関し、学術理論と実践の融合に基づく、問題発見及び解決能力を涵養することです。これは、本学のディプロマポリシーの中の「自らの良心に従って創造物の是非や価値を判断できる判断力を持つこと」に関連します。
 具体的には、各受講生は、本講義を受講することにより、以下の知識,技能を取得することが期待されます。
(1)犯罪情勢及び対策に関する学術理論上の基本的な概念を理解し、説明することができる。
(2)犯罪情勢及び対策に関する学術理論上の基本的な論点の所在を理解し、説明することができる。
(3)日常的に発生している各種犯罪事案及び犯罪関連報道等の背景事情を、学術理論に基づき理解し、説明することができる。
履修条件
履修条件緩和
成績評価方法・基準
・毎回の授業の冒頭に小テスト(第2回〜第8回授業の7回分):100%
※ 7回分の小テストの点数を合計して100点に換算します。
※ 小テストとは別に、第8回の授業の最後にボーナステストを実施します(3点分に相当)。
※ 小テスト(計100点)の得点とボーナステスト(3点)の得点の合計で、60点以上の得点を取ることが単位取得の条件となります。
※ 小テスト及びボーナステストの具体的な実施方法等に関しては、以下の「課題の内容」の欄をご覧下さい。
※ 期末テストやレポート作成、提出はありません。いわゆる「出席点」もありません。
※ デジキャン上の出席記録は直接の成績評価対象ではありません。(なお、デジキャン上の出欠管理の運営は大学事務局で行っております。デジキャン上の出欠管理記録に関して質問や要望がある場合は事務局にお問い合わせ頂けると幸いです。)
期末試験の内容
・期末試験は実施しません。期末レポートもありません。
・いわゆる「出席点」はありません。
・特段の「救済措置」等の予定はありません。
課題の内容
(第2回〜第7回の毎回の授業内での小テスト)
・毎回の授業の冒頭に、前回の授業の内容の理解度を確認することを目的とした小テストを実施します(第2回〜第8回授業の計7回)。
・テストで問われるポイントは、「学習目標」の欄で示されている次の点です。
 (1)犯罪情勢及び対策に関する学術理論上の基本的な概念を理解し、説明することができるか。
 (2)犯罪情勢及び対策に関する学術理論上の基本的な論点の所在を理解し、説明することができるか。
 (3)日常的に発生している各種犯罪事案及び犯罪関連報道等の背景事情を、学術理論に基づき理解し、説明することができるか。
・実施方法は、デジキャンのテスト機能を使用します。
・テストの形式は、原則として選択式(四択)の10問です( ※ 一般には「正解」と考えられ得る選択肢でも、本講義の内容を踏まえていない場合には不正解とされる場合があります。)
・テスト実施期間は、毎回の授業開始時5分前(10:15)から授業開始後15分(10:35)までの20分間です。
・各人のテスト時間はテスト実施期間の中の15分間です。
・ 回答に当たっては、原則として何を参照しても結構です(授業資料教科書、ネット等)。 ただし、他の履修生との協力、Chat-GTPを始め生成型AIの使用は禁止します。不正の可能性が認められた場合には、大学事務局とも連携の上、然るべき措置を講じます。

(第8回の授業内でのボーナステスト)
・第8回の授業の最後に、同回の授業の内容の理解度を確認することを目的としたボーナステストを実施します。
・ポイント、形式等は原則として上記の小テストと同じです。分量及びテスト時間は、3問(5分間)を予定しています。
・同テストは、小テスト(7回分)に基づく成績評価(100点満点)に3点分を上乗せするものです。

授業内容
第1回
【シラバス説明、イントロダクション】
・シラバスの内容について説明します。
・イントロダクションとして、特殊詐欺をめぐる状況とその対策について概観します(教科書:第1章)。
第2回
【日本の犯罪情勢にはどのような特徴があるのか?】
・冒頭に、前回の授業内容に関する小テストを実施します。
・戦後の日本の犯罪情勢の歴史について概観します(教科書:第3章1-4)。
第3回
【犯罪はなぜ起こるのか?】
・冒頭に、前回の授業内容に関する小テストを実施します。
・犯罪学の歴史について概観します(教科書:第2章)。
第4回
【どうすれば犯罪を効果的に防止できるのか?】
・冒頭に、前回の授業内容に関する小テストを実施します。
・第1-3回の内容を踏まえ、政府の犯罪対策を概観します。
・その上で、社会安全政策論という考え方について概観します(教科書:第3章5、第4章)。
第5回
【犯罪対策の最先端の課題:犯罪被害者等の支援、犯罪者の再犯防止】
・冒頭に、前回の授業内容に関する小テストを実施します。
・最近の新しい問題である、犯罪被害者等支援、犯罪者の再犯防止の問題について概観します(教科書:第9章)。
第6回
【少年の非行、少年の犯罪被害】
・冒頭に、前回の授業内容に関する小テストを実施します。
・少年の非行や少年犯罪の問題、逆に少年が犯罪の被害者になる問題(児童虐待等)について概観します(教科書:第5章)。
第7回
【犯罪のグルーバル化】
・冒頭に、前回の授業内容に関する小テストを実施します。
・犯罪のグローバル化の問題について概観します(教科書:第6章)。
第8回
【サイバーセキュリティ】
・冒頭に、前回の授業内容に関する小テストを実施します。
・サイバー犯罪等の状況に関して概観します(教科書:第7章)。
・最後に、第8回の授業内容に関するボーナステストを実施します。

購入が必要な教科書
書名
犯罪学入門−ガバナンス・社会安全政策のアプローチ
著者
小林良樹
出版社
慶應義塾大学出版会
ISBN
9784766425949
備考

教科書以外に準備するもの(画材・機材)
・特にありませんが、犯罪問題に関するニュース等に日頃から関心を持ち、「自分事(じぶんごと)」として考えてみるような習慣を持つことをお勧めします。

参考文献
・以下の書籍は授業内で直接使用することはありません。授業内容に興味を持ち、さらに自習したい場合には参照をお勧めします。
①『入門 犯罪心理学』(2015),原田隆之(筑摩書房)
②『なぜ「あの場所」は犯罪を引き寄せるのか—見てすぐわかる犯罪地図』(2015),小宮信夫(青春出版社)
③『犯罪学リテラシー』(2017),岡本英生・松原英世・岡邊健(法律文化社)
④『犯罪・非行の社会学〔補訂版〕—常識をとらえなおす視座』(2020),岡邊健(編著)(有斐閣)
⑤『新版 少年犯罪: 18歳、19歳をどう扱うべきか』(2022),鮎川潤(平凡社新書)
※大学での教科書販売はありません。

教員連絡先
メール:ykobayashi@meiji.ac.jp