上記学習目標を、卒業制作時に達成することを念頭に、以下3つの柱を構え、ゼミの仲間とともに試みていきます。
①衝動をめぐる内省と対話 --- あなたが「つくる人」なら、創作を始めた初期衝動があったはずです。意志や理屈を超えてやってしまうほど強かったはずのそれは、大人になるにつれ、無自覚に蓋をされてしまっていたり、今では形を変えていたりします。深層心理学/ホリスティック臨床教育学/イノベーション理論等を応用した体験型プログラムを通じて、内省と対話を繰り返しながら、創作へと向かう後期衝動を探ります。 具体的なプログラムでは、あなたの衝動を浮き彫りにする体験型WSと対話をメインに行います。
②固有の表現と出会う「アートツーリズム」 --- 人の固有性は、当たり前ですが、他者との差異を感受することで確証されます。その他者とは、人に限りません。豊かな自然や優れたアート作品、そして多種多様な人と交流する機会を設けながら、生の感動や刺激(あるいは不快)を味わい、自分だと思っていたものが書き換わっていく。その過程で、必然的な表現が生まれ、世界との適切な関わり方を見つけていくように思います。 具体的なプログラムでは、ゼミのみんなと展示会に行ったり、ゼミ合宿を行なったりします。
③創発をめぐる表現と制作 --- 創発という言葉は物理学や組織論、複雑系科学に起源を持ちます。たとえばAI。2023年現在、ChatGPTが何かと話題ですが、なぜAIが近年“急激に”質が良くなったのか、研究者自身も説明できないそうです。AIが使用する計算量やデータ量を増やしたところ、飽和していたはずの精度が、ある量を境に急激に改善した。このように、無数の要素が相互作用し合い、掛け合わさることで「1のn乗=2」というかたちで別次元の特性が出現する現象を創発と呼びます。自分じゃないとつくれないけれど、自分一人じゃ生まれなかったものをつくってしまう、という営みは、極めて創発的だと思います。 具体的なプログラムでは、プロトタイプ展やゼミ生主体の企画を実施していきます。
※上記の目標・目的を達成するため、「ゼミⅠ〜Ⅳ」「卒業制作課題」の5つの講義は一連の流れとして設計されています。
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