シラバス情報

科目名
情報倫理と情報哲学
科目カテゴリ
専門科目
科目モジュール
基礎・理論
科目系統
S
開講時期
2Q
開講曜日
開講時限
7限
担当教員
前田 邦宏
定員
80名
単位数
1単位

授業概要
ネットワーク化された実空間と仮想空間を横断する「情報圏」の中にあって、人間がより善く生きるための倫理、すなわち「情報倫理と情報哲学」を追求する。現在、グローバルガバナンスと呼ばれるものが不安定になる中、情報圏において<世界規範>の醸成が可能かどうかについての考察を行い、近い将来生じる様々な社会問題を人と社会、技術と創造的活動を通じ、それらの解決方法を個別の目的に応じて発案し、モデル化する実践型講義とする。
到達目標
(1)自らの持つ世界観を情報倫理の観点から述べることができるようになる。
(2)情報圏における社会規範や法のイメージを持つことができるようになる。
(3)情報技術を用いた社会事業の持続性を企画することができるようになる。
キーワード
情報圏、規範起業、外部不経済、社会貢献事業、未来倫理

回数
タイトル
内容
実施方法
第1回
情報圏における善の事例
TEDで有名になった難病患者の集合知コミュニティ『Patients Like Me』を題材に、情報圏での成功事例とその規範の土台と循環的構造をソクラテスの主知主義をベースに解説する。
対面授業
第2回
情報倫理の先端事例
イェール大学のデジタル倫理センターのルチアーノフロリディ氏の著書『情報の哲学のために ーデータから情報倫理までー』をテキストに、特に情報倫理の章の解説をする。
遠隔授業
第3回
情報圏における善悪の課題
ジョンコセフの『ネット企業は何故免責されるのか』を元に米国のコンテンツプロバイダー責任法(HB20)の功罪と改正に至る経緯を解説し、OpenAI、X(旧Twitter)等が直面している課題やその責任について議論する。
遠隔授業
第4回
情報圏における規範理論
規範理論には「世の中はこうあるべき」と問うものと「なぜ世の中がこうなっているのか」と問う二種類があるが、本講義では、個人的であれ、人類のためであれ、そうなれば「より幸福」だという前者の規範について論じる。
遠隔授業
第5回
情報圏のための古代倫理学
古代ギリシャのソクラテス、プラトン、アリストテレスらは、都市国家アテナイの政治を変えるために、哲学を備えた統治者を望んだ。2500年経った今、彼らの目指した政治が実現したかを検証する。
遠隔授業
第6回
情報圏のための未来倫理
現在、国際宇宙ステーションにも国境はある中で、火星に移民地を作る場合の法律はどうするのか?また自分で新しい国家を作ると言う観点を得て、仮想空間におけるサービス提供者の倫理観を磨く議論を行う。
遠隔授業
第7回
目の前にある情報圏
現在ソーシャルメディアや人工知能の利用で生じている倫理的混乱、あるいは気候変動、人口動態等の社会課題で果たすべき社会事業の在り方について議論する。(例:フードロスを解消する情報インフラとは?)
対面授業
第8回
2050年の情報圏(ミニテスト付き小論文提出)
個々の履修生に課題として小論文を書かせたものを相互講評する。他の履修生の批判、賛同等を反映したり、自分の表現のブラッシュアップして、提出する。
対面授業

授業形式
講義形式および演習形式
成績評価方法と基準
5段階評価(S〜D)
(1)クイズ形式の問題への回答(30%)
(2)授業毎の感想へ自分なりの発見、疑問、批判の書き込みを重視(10%)
(3)小論文の提出(60%)
履修条件と留意事項
なし
教科書
なし
参考文献
第1回 (以下は無償で閲覧可能。ガイダンスを受ける方は事前にTED Talkを視聴すること)
ジェイミー・ヘイウッド: 弟が命を吹き込んだ大計画 | TED Talk https://www.ted.com/talks/jamie_heywood_the_big_idea_my_brother_inspired?language=ja&subtitle=ja
ジェフベゾスの紙ナプキンダイアグラム https://www.amazon.jobs/jp/landing_pages/about-amazon

グローバルな公共倫理とソーシャルイノベーション 第三章「科学技術イノベーションと人間性を巡る情報倫理/前田邦宏/金子書房/978-4-760-82417-5(コピーを配布)
The Normative Theory in the Infosphere 2023年大学院紀要国際版(日本語版作成の予定) https://msl.dhw.ac.jp/wp-content/uploads/2023/12/DHUITNJOURNAL2023_P010.pdf

(以下、三冊は良本。必須ではないですが購入をお勧めする)
第2回 情報の哲学のために ーデータから情報倫理まで/ルチアーノフロリディ/勁草書房/978-4-326-15477-7
第3回 ネット企業は何故免責されるのか/ジェフコセフ/みすず書房/978-4-622-09006-9
第4回 「正しい政策」がないならどうすべきか? ー政策のための哲学/ジョナサンウルフ/勁草書房/978-4-326-15440-1
第5回 ソクラテス、プラトン、アリストテレス、ホッブス、ロック、ヒューム、ルソー、カント、ヘーゲル、ハイデガー等、現在の高校倫理・公民の教科書に出てくる著名な哲学者の思想をYouTubeや入門書で構わないので知っておく。
https://creativeeducation.hatenablog.com/entry/2020/12/27/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%88%E3%83%B3%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C%E8%AB%96%E2%91%A0_%E2%80%94%E2%80%94_%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E3%81%AE%E3%82%A4

第7回 
ロボット兵士の戦争/PWシンガー/NHK出版/978-4-14-081428-4
ドローンの哲学/グレゴワールシャマユー/9-784-750-34692-2
AI搭載の「自律型兵器」はどう進化したのか 殺人ドローンの原点とされるあの兵器:朝日新聞GLOBE+ https://globe.asahi.com/article/15081452
第8回
ネットコミュニティビジネス入門/日経BP社/978-4822210618(関心空間の章)
楽しみの社会学/チクセントミハイ/新思索社/978-4-783-51185-4