シラバス情報

授業コード
32510001
講義名
表現演習 I 【セット履修】
開講時期
2025年度3Q(後期)
科目分類
演習
科目分野
グラフィック
教員名
戸島 麻貴
実務家教員
履修年次
2~3
単位数
2.00単位
曜日時限
木曜3限、木曜4限

授業概要
表現の基礎として必要な、見る力/読み解く力/理論を実践する体験/手を動かし技法を知る経験/を演習授業により培います。表現したいイメージの具現化に必要な、素材と技法を組み合わせ、作品を制作します。

美術大学で開講されている「技法材料」という講義に基づき、デジタル制作者向けにチューニングしたものを、3Qでは画材、4Qでは技法にフォーカスし、演習を通して学びます。アナログ制作者も、専門画材の知識、技術を習得できます。
到達目標
・広義での平面表現における、複数の画材にリアルに触れることにより、デジタル作画における描画上の個性へのフィードバックを得る。
・日本画や油画など、個人では体験することが難しい画材実習を体験することにより、画材への見地を深める。
・画材と技法の発展発達の体系を知識として説明できるようになる。
・デッサンなどの講座で学んできた基礎的な技術や、色彩学など、理論で学んできた知識を演習にて実践する。
・最終的に表現したいイメージを具現化するために、どのような技術、視点、言語表現が必要か、自身で見定めることができるようになる。
履修条件
デッサンⅠおよびⅡの単位修得
履修条件緩和
【履修条件緩和の条件】
・パース基礎単位習得済者

・デッサンⅠ&Ⅱ、パース基礎どちらも単位修得していない場合作品の提出
 作品数:3点
 内容:デッサン作品、イラストレーションその他二次平面作品

提出先:履修条件緩和申請のフォームにて提出をお願い致します。

画材費や、ゲスト演習材料費など、お金のかかる授業です。授業内容や、学生へのメッセージをよく読んで履修してください。
成績評価方法・基準
平常評価と技能評価を複合的に成績として評価します。
平常評価=総評価の40%とします。授業出席、受講状態、アンケート等の提出状況にて評価します。
技能評価=総評価の60%とします。課題の提出状況、内容にて評価します。課題は各回授業の内容に沿って出題されます。単純な技能の卓越性のみではなく、授業内容を理解しているか、各々で技能向上を図ろうとしているか、などを評価します。クォーター末でのペーパー試験は実施しませんが、全課題をまとめた最終プレゼンを発表してもらいます。各作品の個別評価、及び最終プレゼンの評価の総合評価を技能評価とします。全課題への未着手、全作品の未提出に於いてはプレゼン発表の資格を失います。
期末試験の内容
実施しない
課題の内容
全授業回において課題のある演習授業です。すべての小課題が実技点として採点されます。最終日にプレゼンテーションを行いますが、全課題の未着手、未提出ではプレゼンテーションを行うことはできません。最終プレゼンテーションでは、最後に制作した自由制作の作品を発表しますが、作品単体の秀逸性だけではなく、全授業のどの課題をどのように活かすことができたのかという、詳細な研究姿勢と、自分の作品の魅力とは何か、という批評的自己分析も評価の対象となります。

授業内容
第1回
3Q (3.4限)授業タイトル:「表現の基礎とは何か」

多くの人がデジタル作画で表現を始める中で、アナログでの制作過程や、アナログ画材の質感を知っているということのアドバンテージについて考えてみましょう。 

授業オリエンテーション:授業紹介/講師作品プレゼン/用具説明(翌週までに購入するものの説明)/ゲスト回でかかる費用の説明
学生プレゼンテーション:自分が好きな作品の画像を一つ発表し、その作品の表現の基礎になっている技術は何か受講者相互で分析する。



本授業を受講することを決めた人は画材費の納入をこの日の授業の最後に行いますので、第一回授業を体験して授業終了後に判断してください。
第2回
3Q (3.4限)課題1:鉛筆デッサンによる写真模写、「偉人の肖像」


鉛筆での濃淡の付け方、人物描写など、鉛筆デッサンの基礎画法を振り返りつつ、グリッド法を学びます。

第3回
3Q (3.4限)課題1講評
課題2:鉛筆でグレースケールを作成する(階調の幅をコントロールする術を知る)
演習:パネルに水張りをする(順次個別指導になります。)
第4回
3Q (3.4限)共同購入画材配布

課題3:色相環を作成する(混色のコントロールを知る)

座学:様々な画材と基底材について知る。
第5回
3Q (3.4限)課題4:アクリル絵具を使って模写してみよう。
第6回
3Q (3.4限)専門家に学ぶ①日本画:ゲスト講師、日本画家(本年度まだ未定)を招いて、日本画の材料、技法について教えていただき、実際に触ってみる。

※病欠者意外、必ず出席してください。
※1500円前後の演習材料費がかかります。現在画材が常に高騰し続けている状態のため、発注直前に金額をお知らせします。
第7回
3Q (3.4限)専門家に学ぶ②油画

ゲスト講師、油画家坂本千弦さんを招いて、油画の材料、技法について教えていただき、実際に触ってみる。


※病欠者意外、必ず出席してください。
※1500円前後の演習材料費がかかります。現在画材が常に高騰し続けている状態のため、発注直前に金額をお知らせします。
第8回
3Q (3.4限)課題5:静物画を描いてみよう


アクリル絵具を用いて、りんごを描写してみよう。


講評:課題5

※モチーフのりんごは各自で持参。


この回で表現演習Ⅰは終了です。
第9回
4Q (3.4限)この回より表現演習Ⅱになります。


画材の扱い方①にじみ&ぼかし
座学:作品分析ーターナー&竹内栖鳳
   近代社会への転機に東洋と西洋で同様の表現が生まれたのはなぜか探求します。

課題6 落ち葉を描いてみよう。

講評:課題6
第10回
4Q (3.4限)画材の扱い方②デカルコマニー

座学:作品分析ーオートマティスム、エルンスト
   世界大戦勃発の時代に美術とは何かという疑問や、美しいだけではない内的世界を表現する手法が生まれたことについて、考察します。

課題7デカルコマニー技法を使った作品を制作してみよう

講評:課題7
第11回
4Q (3.4限)画材の扱い方③ドリッピング


座学:作品分析ーアクションペインティング、ポロック
   第二次世界大戦以降、複雑化した内性を個人の身体性に問う、アクションペインティングについて学び、体験します。

課題8ドリッピング技法を使った作品を制作してみよう

講評:課題8
第12回
4Q (3.4限)専門家に学ぶ③現代美術


ゲスト講師 三塚 隆さんを招いて現代美術における平面表現についてお話ししていただき、ワークショップを体験する。

アイデアが表現に到達するにはどのような展開が必要か、具体的なアドバイスをもらいながら進める。


第13回
4Q (3.4限)モデルさんをクロッキーしよう

「日本舞踊を踊る人」


着物で踊るモデルさんに来ていただく予定です。動く人物をクロッキーすることで、瞬間の姿を目に焼き付けることや印象を即興的に捉える体験をします。画材は自由とします。
第14回
4Q (3.4限)自由制作1


第12回でアイデア出しをした作品を実際に制作する時間です。アナログでの制作とします。
第15回
4Q (3.4限)自由制作2


第12回でアイデア出しをした作品を実際に制作する時間です。アナログでの制作とします。
第16回
4Q (3.4限)自由制作のプレゼンテーション、総評


自由制作についてプレゼンテーションしてもらいます。全16回の授業を作品にどのように活かすことができたか、作品の画像スライドを用いて最終作品の魅力について自身で発表します。

購入が必要な教科書

教科書以外に準備するもの(画材・機材)
初回オリエンテーション時に指示します。講師の用意する共同購入を申し込んで費用を支払ったり、オリエンテーションで説明されたものを使用予定日までに、各自で購入してください。

また、モチーフを自分で持参してもらうこともあります。

毎週のように持ち物が必要なので、授業内で注意喚起もしていますし、クラスルームを活用して掲示もしています。

参考文献
※大学での教科書販売はありません。

教員連絡先
maki_toshima@dhw.ac.jp