シラバス情報

授業コード
54180001
講義名
教育社会学
開講時期
2025年度4Q(後期)
科目分類
教養
科目分野
社会性/現代社会
教員名
元濱 奈穂子
実務家教員
履修年次
2~4
単位数
1.00単位
曜日時限
水曜3限

授業概要
教育社会学は、教育と社会がお互いにどのように影響を与え合っているかについて、様々なデータや理論を通じて分析する学問である。
この講義では、教育社会学のデータやものの見方を応用して、私たちに身近な進路選択やキャリアの問題について検討していく。
授業は、(1) 講義、(2) グループディスカッション、(3) 授業中に行うアクティビティで構成されている。(1)講義では、進路選択やキャリア形成に関連する教育社会学の知見を紹介する。(2) グループディスカッションは、講義の内容をふまえて、自分自身の進路選択やキャリア形成について意見交換してもらう。(3)授業中に行うアクティビティでは、授業内容に関するクイズやアンケートに回答し、それをシェアすることを通じて、授業内容に関して社会がどのような意識をもっているのかを考える。
さらに、毎回の授業後に小レポート、および、全授業終了後に期末レポートに取り組む。いずれも、授業の内容を自分自身の問題としてとらえ、私たちが当然だと思っていたことが実は当たり前ではないことに気づくこと、その気づきを通じて自身が大学で学んでいることの意味について再考するような内容になることを期待している。
到達目標
・日本社会における教育や労働の実態を、様々なデータや概念を通じて理解することができる
・自身のこれまでの進路選択やこれからのキャリアが社会にどのような影響を受けているのかを説明することができる
・自身が大学で学ぶことが自分自身や社会に与える影響について考え、言葉で表現できる
履修条件
履修条件緩和
成績評価方法・基準
(1) 毎回の授業中に行うアクティビティ 20%、(2) 毎回の授業後に提出する小レポート 35%、(3) 期末レポート 45%
期末試験の内容
実施しない
課題の内容
<各授業における課題>
毎回の授業中および授業後に、以下のような簡単な課題を出す。詳細は授業時に指示する。
(1) 授業中に行うアクティビティ:授業内容に関連する簡単なクイズやアンケート等のタスクを課す。
(2) 授業後に提出する小レポート
毎回の授業終了時に出す授業内容に関連するテーマに対し、100字以上(回によって変動あり)で各自の意見を述べる。

<期末レポート>
授業の内容をふまえて自身のこれまでの進路選択やこれからのキャリアについて考えて記述する。

授業内容
第1回
<大学で学ぶことを「当たり前でないこと」としてとらえ直す>
日本の進学率の推移を確認しながら、自分たちと同じように大学進学を選択した人が日本にどの程度いるのかどうかを確認する。
そのうえで、大学に進学しなかった人がなぜそのような選択をしたのかを、教育の階層間格差や地域格差などの観点から検討する。
第2回
<大学での学びの価値を経済的・社会的に考える>
大学に進学し、学び、卒業することにどのような価値があるのかを、経済的観点と社会的観点の2つの観点から検討する。
経済的観点では、教育にかかる費用と教育によって得られる将来の利益との関係を扱う。
社会的観点では、人が大学で学ぶことがその人の生きる社会にどのようなインパクトを与えうるのかを考えていく。
第3回
<大学とはどのような場所か>
大学には多様な機能が存在し、どのような機能がどのように重視されるのかは、時代とともに変化してきた。
大学の機能とその変遷を辿ることを通じて、大学に何を求めるのかを考え、各々の大学生活の過ごし方を再検討していく。
第4回
<教育から職業への移行>
日本社会の中で当然視されている「大学を卒業したらすぐに就職する」という慣行は、近年の日本・世界の経済状況の変化により、社会において様々な問題を引き起こしている。
その原因や現状について確認することを通じて、卒業後の働き方について再検討していく。
第5回
<教育・仕事とジェンダー>
ジェンダーは学校・大学生活の様々な場面に埋め込まれ、私たちは無意識のうちにそれに多大な影響を受けている。
こうした「ジェンダー化」が、私たちの進路選択や職業選択、その後のキャリアにどのように影響を与えるのか、それによってどのような格差や不平等が生じるのかを検討していく。
第6回
<教育・仕事と社会的マイノリティ(1)>
社会的マイノリティの人々が教育や仕事の場面でどのような生きづらさを抱えているのかについて、障害者と移民を事例に検討していく。
マジョリティとマイノリティの境界が曖昧であることや、マイノリティの人々の生きづらさはしばしばマジョリティの人々にとって生きやすい社会に原因があることなどを学びながら、あらゆる人々がマイノリティと無関係ではないことを学ぶ。
第7回
<教育・仕事と社会的マイノリティ(2)>
(1)に引き続き、社会的マイノリティが抱える生きづらさとその要因について、性的マイノリティを事例に検討する。

<大学卒業後の教育との関わり>
大学卒業後の人々と教育との関わりについて、その背景や注意すべき点について考えていく。
「教育・仕事と社会的マイノリティ」で学んだ内容をふまえ、マイノリティの人々を支える人材になるための教育や学習の機会についても学ぶ。
第8回
<現代の労働問題>
ワーキングプア、非正規雇用、長時間労働、ハラスメントといった現代の労働問題をとりあげ、その背景と実態を学ぶ。
これらの労働問題は、若い世代の労働者が特に直面しやすい問題であるので、どのように対処するべきかも一緒に考えていく。

購入が必要な教科書

教科書以外に準備するもの(画材・機材)
特に無し

参考文献
片山悠樹・内田良・古田和久,2017,『半径5メートルからの教育社会学』大月書店
中村高康・松岡亮二編,2021,『現場で使える教育社会学—教職のための「教育格差」入門』ミネルヴァ書房
相澤真一・伊佐夏美・内田良・徳永智子,2023,『これからの教育社会学』有斐閣
※大学での教科書販売はありません。

教員連絡先
naoko_motohama@dhw.ac.jp