シラバス情報

授業コード
31210002
講義名
基礎ツール演習 II -a(Ai)
開講時期
2025年度2Q(前期)
科目分類
演習
科目分野
基礎
教員名
米澤 緑
実務家教員
履修年次
1
単位数
2単位
曜日時限
金曜3限、金曜4限

授業概要
Illustratorで作成するベクターデータは、多様な画像データの中でももっとも基本となるデータです。
ねらいどおりのグラフィックスを設計するときに、必須となる技術を勉強します。
ただやみくもにカーソルを動かすのではなく、データの成り立ちをしっかり抑えた上で、無理と無駄のない美しいデータを作ります。それにはグラフィックデザインの基礎知識も必要です。テクニックとともにグラフィックデザインもいっしょに学びましょう。
グラフィックデザインの要素には色と形とフォントなどがありますが、伝わりやすさにこだわりながら、形を取り扱う練習を重ねます。
「美しい」「早く伝わる」「誰にでもわかる」など、すぐれたグラフィックスを見分けることができるようになります。
それは今後上級の技術を学ぶ上での基礎力となることでしょう。

「センス」と言われているものは、生まれついて備わっているものではありません。勉強と訓練で身につけられるものです。
トライアンドエラーの経験の積み重ねがセンスの正体です。そしてそれはものつくりのどの現場でも役立つ、見せ方伝え方のテクニックでもあります。
1年生の2Qの時期に、集中してイラストレーターを使い倒し、作品のブラッシュアップを重ねながら、グラフィックデザインの知識と美しい形を作る技術とセンスを獲得します。
到達目標
・さまざまな線(パス)と形を組み合わせて、イラスト制作とデザインを自由に行えるようになることを目標とします。
・Illustratorで生成されるベクター画像は輪郭線と塗色から成り立ちます。最初は基本図形とパスの仕組みと特徴を理解した上で、徐々に複雑な形を描くためのトレーニングを重ねます。
・デザインの現場で使用されている正しいデータ作りのルールやワークフローも学べます。グラフィックデザインの現場で即戦力になるレベルの技術の習得を目指します。


履修条件
履修条件緩和
成績評価方法・基準
毎回の授業で出された課題を採点します
授業課題を毎回確実に提出してください
期末試験の内容
期末試験はありません
毎回の授業課題と二つのプリントアウトした作品の完成品を必ず提出してください
課題の内容
プリントアウトした成果物の提出が2回求められます
①2回目課題の「自分のシンボルマーク」
②最終回の「ブックデザイン」
2点の作品は必須です
ブラッシュアップをした上で完成させた最終データを紙に出力し、台紙に貼ってて提出します

授業内容
第1回
数値入力で作図に挑戦 
・位置と大きさを数値入力した基本図形もとにさまざまな形を作り、ベクター画像の本質を学びます。
・形のポイントの位置と隣の点への線の方向を変化させ、効率的に作図する方法を試します。
・基本図形を使って自分のシンボルマークを制作します。自分が言いたい意味と形を結びつけるトレーニングです。
・形が持つだれもが共通に感じるイメージと自分が伝えたい気持ちを結びつけマークの形を作ります。
・この回は色調のない無彩色のみを使用します。ゆっくりじっくり、図形とことん向き合います。
・ラフスケッチを描いたり、アイデアを出す発想法のトレーニングも含みます。
第2回
自分のシンボルマークの作成
・前回モノクロで作った形に色を加えてみましょう。
・色そのものが持つ性質や組み合わせによって生まれる効果とイメージについて学びます。
・紙に出力して、RGBとCMYKの色のしくみの違いも体験により知りましょう。
※作品の出力代がかかります。
第3回
自由に形を描くトレーニング
・自由で心に残りやすい形を作るためのトレーニングです。ベジェ曲線をコントロールしてみましょう。
・ポイント1点1点と点と点を結ぶパスを丁寧に扱うことで、緊張感のある美しい形を思い通りに作れるようになります。
・課題写真が配られます。
・彩色はPhotoshopで行います。トレースしたパスをPhotoshopへ移して、深みのあるイラストレーション表現を楽しみます。
第4回
伝わりやすいイラストレーション
・アウトラインは他の人の目にとって、形を理解しやすく伝えるための要素です。
・アウトラインを得ることでフリーハンドで物の形を描けない人でも自由な形のイラストを作ることができます。
・Photoshopにもパスの機能があります。IllustratorとPhotoshopの両方を使いながら画像に深みを加える技術を練習します。
・自分なりの表現を楽しみましょう。
第5回
コラージュ技法で新しいイメージを作る①
・共通のテーマは「小説」。架空のお話でも実在する物語でも構いません。自分で選びます。もしくは作ります。
・タイトルをデザインします。物語のムードが伝わる書体をAdobe Fontから選びましょう。
・和文フォントと欧文フォントの性質の違いを知り、文字扱いのルールを学びましょう。
第6回
コラージュ技法で新しいイメージを作る②
・前回作った小説のタイトルをもとに書籍の表紙のビジュアルを考えます。
・ラフスケッチを描いてみましょう。
・ラフスケッチに合わせて素材を探します。
・背景を切り取った画像を組み合わせて、新しいイメージを作りましょう。
・どこに最初を見せたいか、伝えたいメッセージの意味を考えながら、見る人の目の動線を作っていきます。
第7回
架空の小説のブックデザイン
・物語のパッケージである本の装丁を考えてみましょう。
・本のカバーは立体物です。手に取った時の感じを想像しながら、楽しい仕組みを仕掛けていきます。
※作品の出力代がかかります。
第8回
ブックカバーデザインのブラッシュアップもしくは映画化作品上映のポスター
・どんな作品もブラッシュアップを繰り返し、質をあげていきます。
・作品の質をアップさせる体験を通し、高品質なデザインに仕上がりを昇華させていく過程を学びます。
・ポスターはブックデザインを仕上げられた人の追加課題です。妄想の具現化を思いっきり楽しみましょう。
※作品の出力代がかかります。

購入が必要な教科書

教科書以外に準備するもの(画材・機材)
PC(必ずIllustratorとPhotoshopをインストールし、授業時に立ち上げられる状態にして受講してください)
マウスかペンタブ(マウスがあると上達が早い ペンタブは使いたい人だけ)
ラフデザインを描くための筆記具(クロッキー帳とペンなど)
なんどか紙への出力を求められます。出力費用と提出用のボードの費用がかかります。1500〜3000円の出力代をご準備ください。

参考文献
Photoshop誰でも入門 塩谷正樹、米澤緑、滝川雄貴、共著 メムディーエヌコーポレーション ※参考書として推薦 必須ではありません
※大学での教科書販売はありません。

教員連絡先