シラバス情報

授業コード
91120029
講義名
ゼミ II (表現開発ゼミ)
開講時期
2025年度4Q(後期)
科目分類
研究科目
科目分野
教員名
鈴木 雄飛
実務家教員
履修年次
3
単位数
1単位
曜日時限
火曜3限

授業概要
本ゼミでは『表現開発の異能開花プログラム』を実践していきます。
その過程で、学園祭や学外での作品展示を行います(表現手法は自由)。

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背景:
たとえば、あいみょんはデビュー前に130曲つくり、ジャルジャルは5年以上毎日新ネタをyoutubeにアップしています。頑張る、という根性論でそこまでやるのはおそらく無理でしょう。誰がみても一目で”あの人のものだ”と目立つ表現とは、他人の目も気にせず、誰かに止められたとしてもやってしまう”自分の気持ちのいいもの”を突き詰めた結果、生まれるものではないでしょうか。

才能という漠然としたものを、人と異なるものをやり抜く能力=異能として捉え、それを開花させてほしい。SNSでよくみかける表現は、誰かの気持ちよさを追求した結果生まれたものであって、ただ憧れてマネるだけでは二番煎じを超えることはありません。自分だけの気持ちよさをとことん追求できれば、自ずと”普通ではないもの”へと到達し、結果として目立ちます。そうした表現がもっと世界に溢ると、自分も世の中も、もっと面白くなるんじゃないかと思っています。

また、このゼミではひとりではなく「みんなで」学ぶことの価値を重視します。早い話、偉そうな先生より、負けたくないライバルの存在のほうが成長に直結しますよね。そして社会に出たら、ほとんどの人は「誰かと」仕事をすることになります。後世にまで残る偉業のうち、たった一人で成し得たものはないと言っていいでしょう。仲間を尊重し、時に摩擦し、刺激をもらいながら、ともに高め合う場でありたいと思っています。

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異能開花プログラムの6ステップ:

①心理的安全性の確保
自己の深い内面や半生を掘り下げ、ゼミ生同士と対話しながら、表現者としての自分を深くみつめなおす時間を多く取ります。そのためには、自分を安心してさらけ出せる環境が欠かせません。このゼミでは”内省”と仲間との関係性”をかなり重視しますので、あらかじめご認識ください。
取り組み例:ゼミ合宿の実施/ライフヒストリー共有の対話

②10年間の自己充足
表現をやらなくても人は生きていけます。それでもわざわざ表現するのはなぜだろう。嘘をついていいなら、表現者は自分じゃなくてよくなります。自分を表現へと駆り立てる根っこの原動力を見つめながら、「たとえ10年間、誰からも評価されなくても気持ちよくやり続けられる表現とは何か」を探究します。
取り組み例:表現シートを活用した対話

③モノサシづくり
人は社会で生きていくために「自分にとっては大事でなくとも、他人に合わせて獲得したもの」を多く抱えています。しかしそれは、自分だけの気持ちよさを追求する上では不純物にもなりえます。自分の純度を下げるものを見極め、適切に手放して、自らのモノサシを鍛え直すためのワーク等にも取り組みます。
取り組み例:不要なものを捨てるワーク/100均で自分が最も価値を感じる商品を買うワーク

④気持ちよさの外在化
その表現は、自分にとって本当に気持ちがいいものか。それは実際につくってみないとわかりません。取り組んだことのない表現もたくさんあると思います。様々な表現に触れるワークを通して表現の幅を広げ、何に気持ちよさを感じるのかの身体経験値を積みながら、自分にとっての表現手法を確立していきます。また、その実践として、学園祭や学外での作品展示を行います。
取り組み例:粘土造形/掛け軸/短編文学/学内外での展示企画

⑤熱狂品質の過剰な表現
ネットをひらけば感動コンテンツと遭遇する時代にあって、目指したいのは感動以上のもの。"それでしか得られない栄養のある表現"といえるかもしれません。「自分が気持ちよくなれて、かつ普通じゃない"過剰な表現”に到達しているか」という到達目標に沿って、表現強度を高めていきます。
その集大成をお披露目する場として、卒業制作展示を行います。

⑥異能の正面突破(アドバンス)
このレベルは(いやこのレベルに限らず)、教員自身も必死に取り組んでみています。最先端で考えていることを適宜共有しながら、いっしょに良いものをつくるということを、ゼミ生と一緒にできればと思っています。

詳細はサイトをご確認ください:
https://www.yuuhi-semi.com/%E7%95%B0%E8%83%BD%E9%96%8B%E8%8A%B1%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%A0
到達目標
最終的に到達したいこと:

どこまでも気持ちよくて
かつ普通じゃない
”過剰な表現”をつくれ。

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てにをはを直していたら1日が終わった。
絵を描くのに没頭しすぎて来客に気がつかなかった。
周りも時間も忘れて打ち込んでしまう表現は、
みる人を感動させる前に、つくるあなたが感動している。
納得のいくまで突き詰めるその姿勢は、
努力だったのだと周りの声でようやく気がつく。
( ニヤニヤしていて気持ち悪いことさえある )

自分だけが知る気持ちよさを磨き抜いた表現は、
普通になり得ない。異形に到達して、異様に目立つ。
他人の目を気にして生まれる痩せ細った表現ではなく
表現者自身がどこまでも気持ちよくなれて
かつ鑑賞者に衝撃と感動を与えられることを目指して。
健やかで過剰な表現開発に挑戦するゼミです。


到達したい個別目標①:
表現することを通して満たしたい、自らの原動力/業を自覚すること

到達したい個別目標②:
むこう10年間やり続けたい、気持ちのいい表現手法とその資産を見つけること

到達したい個別目標③:
何も知らないもう一人のあなたが見かけたら布教してくれる、熱狂品質を磨くこと

到達したい個別目標④:
他者の自由を尊重し、まざり合い、ともに自由になる姿勢を身につけること

到達したい個別目標⑤:(アドバンス):
先人の表現を研究し、普通じゃないポイントを自覚した上で磨き込むこと

詳細はサイトをご確認ください:
https://www.yuuhi-semi.com/
履修条件
履修条件は特にありませんが、ゼミの活動は主として日本語で行われます。ネイティブレベルでの日本語運用能力は必須とさせてください。また、広告発想論/広告制作を履修されていると、何かとスムーズに取り組めるかと思います。
履修条件緩和
成績評価方法・基準
<成績評価方法>
・学園祭/学外展示/卒業制作での作品…70%
・出席率/授業態度/仲間への思いやり…30%

<履修条件>
・日本語ネイティブのコミュニケーション能力
・教員の講義(広告発想論/広告制作)を卒業までに受講すること
・ゼミで大切にしたい5つの価値観を守る姿勢


このゼミは「みんなで手入れするシェアハウス」のような場所です。教員は大家として、ゼミ生の健やかな表現活動のために日々の運営と学びの機会提供、そして責任を持ちますが、それでも基本は、ひとりひとりが他者を思いやりながら、ともに心地よく暮らせる場をいっしょに創りあげていきたい。

そのために、“条件”とは言わないまでも、入居にあたってぜひ持ってほしい”心構え”のようなものがあります。迷った時は、右側を大事にしてほしい。どうしても左側の態度をとってしまう学生は、人生に季節があったとして、いまはこのゼミで過ごす季節にいないのかもしれません。お互いが不幸にならないよう、事前に呈示させてください。

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<ゼミで大切にしたい5つの価値観>
① Take < Give
ともに暮らすにあたり、自分のことでいっぱいいっぱいだと、つい他者のリソースを奪ってしまいます(=Take)。ではなく、自分がこの場にどう貢献できるか(=Give)。いい場にするために、全員で協力していきましょう。

② ケア < 健康
同居人がずっと風邪を引いていたら、みんなが気を遣い、ケアに奔走する日々は全員の創作活動にも影響が出ます。健全な関わりは、個人の心身の健康から。ただ、表現者は繊細なので、年中元気ともいきません。心身の体調を崩した際は、適切な過ごし方を一緒に考えましょう。

③ こだわる < 面白がる
表現したいものへのこだわりは、ものすごく大切です。でもそれは、頑固と紙一重。学びの吸収の妨げにもなります。異質なものと出会った時。誰かと摩擦が起きた時。自分の知らない価値観や世界を面白がる姿勢が、未知の成長と、わざわざみんなで学ぶ意味につながると思います。

④ 能力 < 熱意
能力が高いことに、もちろんこしたことはありません。独り立ちして活躍までされているなら話は別ですが、もしそうでないとしたら、大切なのは伸びしろです。頭ではなく手を動かし、何でも学ぶ熱意の高さを大切にします。(頑張る人が、頑張らない人に気を遣う環境にはしたくないです)

⑤ 自分 = 仲間
ゼミである以上、ひとりではなくみんなで学ぶ価値に目を向けたい。自分にはどこまでも自由になる権利がありますが、最低でも同じ程度の自由になる権利が、隣の仲間にもあります。その境界線で、衝突することもあるでしょう。遠慮は禁物ですが、尊重も忘れずに。摩擦は大切な問いを産み落とします。それさえも面白がりながら、健康的で熱量の高いシェアハウスを目指したいと思っています。
期末試験の内容
なし
課題の内容
▼入ゼミ前:ゼミ選考の事前課題提出+面談の実施
下記2点を事前提出の上、1人20分ほど面談を実施します。

①「わたしの〇〇フェチ」が伝わるように、A4紙1枚で自由に表現してください。
フェチを辞書通りに捉える必要はありません。意志や理屈を超えて惹かれてしまうもの、つい没頭してやり続けてしまうこと、誰にも理解されなくても自分にとっては大切なことなどについて、教えてください。

②これまで制作してきたものがわかる作品集/ポートフォリオを提出してください。

→負荷をかけて申し訳ありませんが、弊ゼミとの相性を見る上で参考となるため、よろしくお願いいたします。また、モチベーション高く取り組める仲間と一緒に取り組むことが、いちばん自分を遠いところまで連れて行ってくれると思っていますので、ぜひ楽しんで取り組んでみてください。
→ミスマッチを防ぐためにも、入ゼミ前であっても相談に乗りますので、遠慮なく連絡先からご相談ください。

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▼入ゼミ後〜夏休み期間:ゼミ合宿の実施
入ゼミ前の夏休み期間に1泊2日の合宿を毎年行っています。面談時に日程調整を行いますので、ご了承ください。

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▼9月以降:学園祭展示/学外展示の実施(不定期)
学園祭や春休み〜GW期間などで展示も行う予定です。展示といっても様々な作品形態があり、弊ゼミは「表現媒体は自由」です。やりながら相談しましょう。

→参考までに、これまでの卒業生は、小説/イラスト/VR/ボードゲーム/インスタレーション/インタラクティブアート/映像作品/舞台演出/TRPGなど、多種多様な作品をつくっています。
→教員の本業はクリエーティブディレクターであり、何を・なぜつくるかにもとづいて「どうやって」を規定するため、どのような表現媒体を用いる場合であっても、作品制作の考え方やそのプロセスの指導が可能です。教員自身も作品制作を行います。
→裏を返せば、各表現媒体の「どうやって」における技術的な指導には限界があります。技術を磨きたい場合は他ゼミを推奨します。

授業内容
第1回
自分と仲間を知る対話
第2回
合宿の振り返り/学園祭展示の企画
第3回
創作のワーク/学園祭展示の企画
第4回
創作のワーク/学園祭展示の企画
第5回
自分と仲間を知る対話/学園祭展示の企画
第6回
創作のワーク/学園祭展示の企画
第7回
創作のワーク/学園祭展示の企画
第8回
学園祭展示の作品発表

購入が必要な教科書

教科書以外に準備するもの(画材・機材)
なし

参考文献
随時紹介します。
※大学での教科書販売はありません。

教員連絡先
yuuhi_suzuki@dhw.ac.jp