シラバス情報

授業コード
91520028
講義名
卒業制作展示
開講時期
2025年度4Q(後期)
科目分類
科目分野
教員名
茂出木 謙太郎
実務家教員
履修年次
単位数
1単位
曜日時限
集中授業

授業概要
本科目は、学生が卒業制作として完成させたアバター関連作品を2月の卒業制作展で効果的に展示・発表するための実践的指導を行う。学生は自身の作品の特性を分析し、最適な展示方法を計画・実行する。実際の展示空間の設計から、技術的な展示環境の構築、来場者とのコミュニケーション戦略まで、作品の魅力を最大限に引き出すための総合的なスキルを習得する。物理展示とメタバース空間での展示の両方を視野に入れ、デジタルとリアルを横断した効果的な展示手法を学ぶ。この授業の最終成果は、デジタルハリウッド大学の卒業制作展における展示として結実する。
到達目標
学生は卒業制作の成果を効果的に展示・発表するための企画力と実践的なディスプレイ技術を習得する。
学生は来場者に作品の意義や技術的特徴を明確に伝達するためのプレゼンテーション能力を身につける。
学生は展示を通じた外部評価や意見を収集・分析し、自身の制作へのフィードバックとして活用する能力を養う。
履修条件
履修条件緩和
成績評価方法・基準
卒業制作展における展示内容および準備過程を総合的に評価する。評価の比率は以下の通りである。

展示企画とコンセプト (30%):

学生が自身の卒業制作物の価値を最大限に引き出すための展示コンセプトを明確に設定できているか。
展示テーマと作品内容との整合性、独自性、および来場者への訴求力を評価する。
提案された展示空間(実空間またはオンライン空間)の活用計画が、作品の魅力を効果的に伝えるために熟考されているか。
展示表現と技術的完成度 (40%):

学生が制作した展示物(説明パネル、映像、インタラクティブ要素、デモンストレーション環境等)の質、および作品の技術的特徴やコンセプトを効果的に伝えるための表現力を評価する。
展示物の視覚的なデザイン、情報の整理、技術的な安定性(デモンストレーションのスムーズな実行など)を重視する。
来場者が作品の世界観や技術的な挑戦を理解しやすいように工夫されているか。
準備プロセスと主体性(平常点を含む) (20%):

平常点としての評価内容:
授業内での各課題(展示計画書の作成、説明資料の準備、中間レビューでの発表、リハーサルへの参加など)に対する取り組みの質と主体性を評価する。
設定された期限の遵守、および指示に対する理解度と実行力。
他の学生の発表に対する建設的な意見や、グループワークにおける協調性も考慮する。
上記の平常点に加え、展示準備期間全体を通じて、学生が計画的に準備を進め、発生する課題に対して主体的に解決しようと努力したプロセスを評価する。
プレゼンテーションとコミュニケーション (10%):

卒業制作展の会場(またはオンライン展示空間)において、学生が自身の作品について、来場者に対して明瞭かつ論理的に説明できるかを評価する。
来場者からの質問に対して的確に応答し、建設的な対話ができるコミュニケーション能力を重視する。
自身の制作活動に対する熱意や自信が、発表態度を通して伝わるか。
これらの評価項目に基づき、学生が卒業制作の集大成として、その成果を社会に向けて効果的に発信する能力を総合的に判定する。

※ 授業への出席は評価の前提条件であり、規定の出席回数(全8回中7回以上)に満たない場合は単位を与えない。また、展示準備および本番展示への参加は必須とする。
※ 上記の評価項目に関して、各回の授業で進捗確認と個別フィードバックを行う。学生は授業内での助言をもとに継続的に展示計画を改善し、最終的な展示に反映させることが求められる。
期末試験の内容
実施しない
課題の内容
実施しない

授業内容
第1回
第1回: 卒業制作展オリエンテーションと展示コンセプトの明確化
* 卒業制作展の意義、目的、スケジュール、および評価のポイントを理解する。
* 各自の卒業制作物の核心的な価値と、それを展示においてどのように効果的に伝えるかの基本方針を定める。
* ターゲットとする来場者層を想定し、訴求ポイントを検討する。
第2回
第2回: 展示計画の詳細化と空間・機材プランニング
* 展示ブースのレイアウト、必要な機材(PC、モニター、VR機器、展示パネル等)、作品の見せ方(デモ方法、インタラクションの有無)を具体的に計画する。
* オンライン展示(メタバース空間での展示など)を検討する場合、そのプラットフォーム選定と空間デザインの計画を行う。
* 展示計画書(案)を作成する。
第3回
第3回: 説明資料(キャプション・パネル・映像等)の制作
* 作品のコンセプト、制作意図、使用技術、アピールポイントを簡潔かつ魅力的に伝えるためのキャプション、説明パネル、ポートフォリオ等のテキスト及びビジュアルコンテンツを制作する。
* 必要に応じて、作品を紹介するためのショートビデオやスライドショー等のデジタルコンテンツの準備を行う。
第4回
第4回: 口頭発表とデモンストレーションの準備
* 来場者に対して、自身の作品の魅力と技術的側面を効果的に伝えるための発表構成を練る。
* デモンストレーションを行う場合、その手順、所要時間、見どころを明確にし、スムーズな実演ができるよう準備する。
* 想定される質疑応答の内容を検討し、対応を準備する
第5回
第5回: 展示プラン・発表内容の中間レビュー
* 作成した展示計画書、説明資料案、および口頭発表の概要について、ゼミ内で発表し、教員および他の学生からのフィードバックを受ける。
* 得られた意見を参考に、展示計画および発表内容の改善点を見出し、修正を行う。
第6回
第6回: 展示設営の準備と技術的リハーサル
* 展示ブースの設営に必要な資材のリストアップと手配状況を確認する。
* PCやVR機器などの設営と動作確認、デモンストレーションの技術的なリハーサルを行い、トラブルシューティングのポイントを把握する。
* オンライン展示の場合、アバターのセットアップやワールドの最終調整を行う。
第7回
第7回: 最終リハーサルと展示準備の完了
* 実際の展示会場(またはそれに準じた環境)での設営を想定したリハーサル、あるいはオンライン展示空間での最終ウォークスルーを行う。
* 口頭発表、デモンストレーションを含めた通しリハーサルを実施し、時間配分や説明の明瞭さを最終確認する。
* 展示に必要な全ての制作物、資料、機材が揃っていることを確認し、搬入・設営手順を最終決定する。
第8回
第8回: 展示期間中の対応と成果の振り返り
* 展示期間中の来場者への対応方法(作品説明、質疑応答、デモンストレーションの実施)、ブース管理の注意点を学ぶ。
* 展示終了後、来場者からのフィードバックや自身の経験をまとめ、卒業制作全体の成果として振り返りを行う。
* 撤収作業の計画と注意点を共有する。

購入が必要な教科書

教科書以外に準備するもの(画材・機材)
デジタル作品の展示用データ: 最終的な卒業制作の実行ファイル、動画、画像データなどを、展示用に最適化した状態で準備する。バックアップを含め複数の記録媒体(USB、外付けHDD等)に保存すること。

展示用コンピュータ: 自作品の動作に必要なスペックを満たすノートPCまたはデスクトップPC。OSやドライバ、必要なソフトウェアは最新の安定版にアップデートしておくこと。

専用周辺機器: 制作した作品の特性に応じた入出力機器(VRヘッドセット、特殊コントローラー、センサー、Webカメラ、マイク等)。機器の動作確認と必要なドライバのインストールを事前に完了させること。

展示ブース装飾材料: 自作品のコンセプトに合わせた装飾材料(布、パネル素材、小道具等)。大学の基本展示設備に追加する形で使用する場合は、事前に許可を得ること。

解説パネル・資料作成材料: A1またはA2サイズのポスターボード、出力用の厚紙、ラミネート材料等。デジタル出力する場合は高解像度の印刷データを準備すること。

メタバース展示用アカウント: ClusterやVRChatなどのプラットフォームで展示を行う場合、必要なアカウントとアップロード権限を事前に取得し、動作確認を済ませておくこと。

記録用機材: 展示の様子やインタラクションを記録するためのカメラやビデオカメラ。ポートフォリオ用の高品質な記録を残すため、適切な撮影機材を用意すること。

来場者フィードバック収集ツール: QRコードリンク先のアンケートフォームや、紙のフィードバックカード等。来場者から効率的に意見を集めるための仕組みを準備すること。

予備電源・延長コード: 展示場所の電源事情に対応するための延長コード、電源タップ、予備バッテリー等。安全に配線できるケーブルカバーやテープ類も含む。

応急修理キット: 展示中のトラブルに対応するための基本的な工具セット(ドライバー、テスター等)、予備ケーブル類、両面テープ、結束バンド等。

※ 各自の作品特性によって必要な機材は異なるため、第1回授業時に展示計画を提出し、担当教員と相談の上、最終的な準備リストを決定すること。

※ 高額な機材に関しては、大学の共用機材の利用も可能な場合があるため、早めに申請を行うこと。

※ メタバース展示を行う学生は、展示空間の構築とテストに必要なサーバー費用や利用料についても計画に含めること。

参考文献
※大学での教科書販売はありません。

教員連絡先
Slackにて随時連絡を取り合うこと。